映画

―ふたりの桃源郷ー

暗闇に眩い映像が映し出される映画館が、苦手な私がなんと映画鑑賞です。この映画が撮られたのは山口県岩国市美和町。山に暮らす夫婦と支える家族の25年にわたるドキュメンタリー映画です。2002年~2013年にかけて山口放送で放送されていました。たまたまテレビでその番組を見て以来、番組を探すようにして見ていました。そして見る度に、俳優が演技する映像ではなく、実際に山で暮らす高齢の夫婦のありのままの映像に、我が身や家族を置き換え、考えさせられたり、涙が止まらなかったり、いろいろ余韻の残る番組でした。老いる親とその子ら・・誰にでも起きる問題提起です。放送番組を再編集した映画です。

あらすじ<山口放送>
山口県岩国市美和町の山奥で暮らす田中寅夫さん・フサコさん夫妻。二人が、電気も電話も水道も通っていないこの山で暮らすのには、ある理由がありました。山は、戦後まもなく一からやり直そうと自分たちの手で切り開いた大切な場所。高度経済成長期に大阪へ移住し、三人の子供たちを育て上げた寅夫さんとフサコさんでしたが、夫婦で還暦を過ぎた時、「残りの人生は夫婦で、あの山で過ごそう」と、思い出の山に戻り、第二の人生を生きる道を選んだのでした。畑でとれる季節の野菜、湧き水で沸かした風呂、窯で炊くご飯…かけがえのない二人の時間に、やがて「老い」が静かに訪れます。山のふもとの老人ホームに生活の拠点を移した後も、山のことが心から離れない二人。離れて暮らす家族の葛藤と模索。そして夫婦亡き後、残された家族に〈芽生えた〉ものとは――?そこには、現代における“幸せの形”のヒントがありました。

両親が元気だった頃に見たこの番組の思いと、両親を見送った「今」見るのとでは、感じる気持ちが違っていました。仲が良かった田中さん夫婦が、同じく仲が良かった故両親とが重なって見えます。映画で印象的なのは、①山に入ったまま夕方になっても帰って来ない寅夫さんを心配して、山に向かって呼びかけるフサコさん。やっと寅夫さんからの返答に安堵するフサコさんの表情。②寅夫さんの好物のマツタケを取りに行っても見つからず、代わりにリンドウの花をつんで帰ってきたフサコさん。その花をコップにさす寅夫さんの優しさ。③寅夫さんの死後は、寅夫さんが植えた杉を売って、フサコさんの生活資金にあてるようにと娘たちに遺言して逝った寅夫さん。言い尽くせないほどの数々の場面に、「老いていく・・」現実の日々に、お互いを思いやる夫婦愛・親を思う子供心・子供を思う親心が至る所に表れており、数年の時を経て再び見たこの度も、心打たれ涙が止まりませんでした。

100人の人に100通りの”幸せ”があるように、”幸せの形”は一人一人違っています。そのうちに私の”幸せの形”を問われる日が来るかもしれませんね。

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